放射線治療
放射線治療とは
放射線治療とは、手術、薬物療法と並ぶがん治療の3本柱のひとつで、全身のほとんどの部位に発生する多種類のがんが対象です。 治すことを目的とした治療から、症状を和らげるための治療まで幅広い役割を担うことができ、早期がんであれば放射線治療だけでがんを 完全に治すことも可能です。 また、一部の良性腫瘍に対しても治療することがあります。
放射線治療の適応
- 1、 切らずに機能や形態を温存して治療する場合
- 2、 手術後に再発防止を目的として治療する場合
- 3、 手術前に病巣を小さくすることを目的とする場合
- 4、 痛みや生活に支障をもたらす症状などを和らげる目的の場合
バリアン社製のリニアック装置 Clinac iXの特徴
①マルチリーフコリメータ(5mm)
放射線を当てる範囲は、板状の遮蔽物(リーフ)を重ね合わせて形成します。 従来主流であった1cm幅のリーフから今回導入した5mm幅のリーフを使うことによって、腫瘍により正確に照射できるようになります。
②画像誘導放射線治療(IGRT)
診断領域のX線装置を搭載しており、治療直前のX線撮影やCTの撮影も行え、精確に位置決めを行うことができます。治療期間中の腫瘍のサイズの変化に合わせて、再度照射領域の検討や変更がスムーズに行えるようになります。
③強度変調放射線治療
各方向から照射野内を均一な線量で照射するのではなく、強度変調をかけることにより、腫瘍への線量はそのままで、放射線を当てたくない臓器には、少ない線量に減らすことができます。これによって副作用を軽減した治療が可能となります。
放射線治療の方法
放射線を照射する方法には、外部照射、小線源治療、内用療法(標的アイソトープ治療)などがあります。いずれの方法も正常組織を温存しながら腫瘍に放射線を集中させることを目的としています。 治療中に痛みなどありませんので、ご高齢の方や合併症があって手術が受けられない患者さんでも治療できます。当院では以下の放射線治療を行っています。
外部照射について
からだの外から放射線を照射することを総称し外部照射と呼んでいます。照射する放射線の種類は様々ですが、当院では主にエックス線、場合によっては電子線を利用した治療を行っています。
内用療法について
ラジオアイソトープ(放射線同位元素)を体内に取り込み、投与した放射線性薬剤が病気の部分に集まる性質を利用した治療法です。当院で使用しているストロンチウム89は、がんの骨転移による痛みを和らげることを目的としたものです。
▶ メタストロン注について(日本メジフィジックスのホームページ)
放射線治療の流れ
放射線を当てる範囲は、板状の遮蔽物(リーフ)を重ね合わせて形成します。 従来主流であった1cm幅のリーフから今回導入した5mm幅のリーフを使うことによって、腫瘍により正確に照射できるようになります。
外照射の場合
①がんの種類を特定する
②画像診断や内視鏡検査などによって、病気の広がりをみる診断
③適した治療法の選択
治療法の1つとして放射線治療が選択された場合
④放射線治療部を紹介受診(基本的には月・木の午後)、診察、説明
⑤(固定具作成・)治療計画CT撮影
⑥照射部位決定・コンピュータによる治療計画・線量分布を評価して決定
⑦毎日の放射線治療開始・定期的な診察
1日1回、週5回(平日のみ)行うのが一般的です。
(治療全体では1回で終わるものから30回以上行うものまであります)
⑧照射終了後に、必要に応じて診察を行います。
内用療法の場合
①がんによる痛みを和らげることを目的として紹介受診(月・木の午後)、診察、適応の判断説明
②治療を行います(通常は翌週以降に)
③治療後1~2週間後および月に1回の診療(少なくとも3ヶ月間)
院外からの紹介について
院外からの紹介は、病診連携室を通じてご紹介ください。 初診受付は、原則的に月・木の午後に受けています。
医師紹介
- 梶谷 千香枝
- 日本医学放射線学会 放射線科専門医
- 日本放射線腫瘍学会 放射線治療専門医
- 検診マンモグラフィ読影認定医
- 日本医学放射線学会 放射線科専門医
- 非常勤 玉本 哲郎
- 日本医学放射線学会 放射線科専門医・研修指導医
- 日本放射線治療学会 放射線治療専門医
- 日本がん治療認定医機構 認定医・暫定教育医
- 日本核医学会 核医学専門医