主な業務内容
強いチーム連携によって難治性の創傷に立ち向かう
新たに開設された創傷ケアセンターでは、難治性の慢性創傷(閉塞性動脈疾患に伴う潰瘍・糖尿病性潰瘍・壊疸・静脈疾患に伴う憤瘍褥瘡など)を、チームで専門的に治療しています 。
創傷とは
一言で言えば『 キズ 』と呼ばれるもの全てを指します。 キズの治療は外科や形成外科などで行っていますが、キズの中にはさまざまな原因によってなかなか治癒しないキズがあり、創傷ケアセンターではこの難治性のキズを専門的に治療することを目的としています。 難治性のキズ ≒ 難治性潰瘍 です。 詳しくは下の『 難治性潰瘍とは 』をご参照下さい。
主な治療対象疾患
- 閉塞性動脈硬化症による難治性潰瘍
- 尿病性壊疽
- 静脈うっ滞性潰瘍
- リンパ浮腫
- 胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)
- 巻き爪、陥入爪
- その他の下肢難治性潰瘍(褥瘡、熱傷、放射線治療後、術後創トラブルなど)
診療時間・診療場所(完全予約制)
診療時間 | 毎週月曜日 14:00~16:00 (祝祭日は除く) |
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診療場所 | 形成外科外来(当院 1階) |
難治性潰瘍とは
難治性潰瘍は治療に抵抗する慢性潰瘍のことですが、不適切な治療で潰瘍が長引いているものや、適切な治療に抵抗するものまであります。
その原因には、外傷、褥瘡、糖尿病性潰瘍、放射線潰瘍、うっ滞性潰瘍、膠原病、リウマチに合併する潰瘍などがあります。また、時として皮膚癌を認める場合がありますので注意が必要です。
さらに潰瘍などの傷が治癒するのを妨げる因子としては低栄養、感染、ステロイドや免疫抑制剤の服用、機械的刺激などがあげられます。
好発部位は下腿、足で、それは組織に余裕がなく起立、歩行によりうっ血をきたしやすいからです。また、血行が他の部位と比べて不良であるため、いったん潰瘍が生じると難治性になりやすいことも好発部位となる理由の一つです。
難治性潰瘍の治療は、まず潰瘍の原因、誘因や治癒を妨げる因子を解明して除去することにあります。
またそれに伴い、全身および局所管理を十分に行うことも大切です。
それにより治癒しない場合は外科的治療になります。局所管理としては、
- 1.デブリードマン
- 2.感染のコントロール
- 3.肉芽形成
- 4.上皮化の時期
によりそれぞれ適切な軟膏療法を行います。すなわち、デブリードマンでは壊死した組織を軟膏や外科的に除去します。感染のコントロールのためには抗生剤を含んだ軟膏や抗生剤の全身投与などが行われます。
さらに肉芽形成や上皮化促進のための軟膏がありますので時期に応じた軟膏が用いられます。上皮化については軟膏で治癒しない場合は植皮術が行われます。潰瘍によっては 腱や骨が露出している場合がありますがそのような場合には皮弁移植が必要となります。
難治性潰瘍では治癒したあとの管理も大切です。糖尿病性潰瘍や全身疾患を伴う潰瘍では再発しやすいからです。治癒した潰瘍部を保護することは重要なことですが、再発させないことも重要です。特に下腿の場合、長時間の立ち仕 事を避けることや、足を挙上してうっ滞を避けるなど日常の生活も改善することが必要です。
いずれにしても、治癒しない傷や潰瘍ができた場合、できるだけ早く専門医の診察を受けることが望ましいと考えられます。 日本形成外科学会Hpより引用
当センターの特徴
創傷ケアセンターの始まりはアメリカに端を発しており、日本でも昨今同様の名称で、たくさんの創傷治療を目的とするセンターが稼動しています。
多くの施設では、近隣の施設と協力体制を整え、検査や手術などそれぞれの得意分野を活かした連携を行って運営しているのが実状です。
当院には、形成外科、循環器内科、心臓血管外科、糖尿病代謝内科、人工透析センターがそろっています。
これにより
形成外科における | 植皮術、皮弁術、陰圧閉鎖療法 distal-bypass術 ( 足首レベルの血管バイパス手術 ) リンパ浮腫におけるリンパ管静脈吻合術 |
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循環器内科における | PTA(血管内カテーテル治療による血行再建 ) |
心臓血管外科における | 動脈形成術、bypass術、静脈硬化療法、高位結紮術 |
糖尿病代謝内科における | 厳格な血糖コントロール、糖尿病チームによる教育指導 |
人工透析センターにおける | LDLアフェレーシス |
などの各科の専門的治療を、当センターが架け橋となることで、適切な順序で円滑に進めることが可能となっています。
循環器内科でのバルーン治療の様子
当院ではほかの病院で切断しかないといわれた方にも積極的にバルーン治療、バイパス治療を行っております。もちろん全ての方の足を救えるわけではないですが一度ご相談ください。
実際の様子

【視診】
足全体の視診を行います。キズが無いか。血色はどうかなど、まず全体的に評価します。

【血流評価】
触診と超音波を使用した機械によって足の血管を流れる血流を評価します。必要に応じて他の検査を追加することがあります。

キズの有無など、必要に応じて足の洗浄を行います。
この後、状態に応じて処置を行います。
また、医師が精査が必要と判断した場合は当日または予約にて検査を追加することがあります。
※注 状況に応じて上記順番は入れ替わる可能性があります。
義肢・装具
フットウエアは、創傷の治療はもちろん、治癒後の再発防止にも大変重要です。
足に合っていない靴では、すぐに再発したり、新たな問題を生じることが非常に多いからです。
当センターには義肢装具士も常駐しており、医師の判断に応じて患者様一人一人の足に適合するようフットウエアの作製を行います。
作製後も継続的に使用感や足への適合性を確認し、必要に応じて再調整を行います。

一人一人の足の形に合わせ、インソール等を調整します

個人の足の形に合わせオーダーメイドの靴を作製します。
実績
紹介をしていただきました。
オリコンメディカル社 「 患者がきめた!いい病院 」
読売新聞社 「 病院の実力2010 」